田中角栄 100の言葉(1)
ブックオフにて360円(税抜)で購入しました。
本当は田中角栄秘書の早坂茂三の本が読みたかったのですが、残念ながら販売しておらず。私が住んでいる市の中央図書館には蔵書があるようですが、少々遠い(遠い目
それはさておき。私はだいたい好きな本は3回以上読むようにしています。端的に、あまりアタマがよろしくないこともあり、1回では理解が及ばないことが多いため。
3回くらい読めば、全体像と各論の理解がそれなりに進んでいます。本当は5回くらい読んで、自分なりのツッコミを入れて、身体に定着させるべきですが時間的に難しい。今回は、2回読んだ時点での感想ですので、また考えが変わるかもしれません。
私の職種は経理・財務系になります。そのため、一番腑に落ちたのが、34ページ、13番目の言葉として挙げられているものです。
- 大事なのは数字と事実だ。ウソか本当かは調べればすぐ分かる。根拠に乏しい屁理屈は、たちどころに化けの皮が剥がれる(田中角栄 100の言葉 - p.34 - 角栄の言葉⑬数字と事実)
さて、私自身はこのこと自体は普通と感じています。この言葉を持って、彼が優れた合理主義者だったという評価も厳しい。この言葉が、どんな文脈で、どのような想いで発せられたのかがわからないからです。ドラマの台詞を抜き出しても、ドラマ全体の評価ができないのと同じことです。
ただし。この言葉のあとに付けられた説明文には、少し感心したところがあります。
- 10代から労働と経営に携わり、経済の仕組みを体で理解していた田中角栄。その「合理主義」の土台の上に義理と人情の政治が成立した。(田中角栄 100の言葉 - p.35 - 後段)
最近、自分の中で失われていくものに、この義理と人情があります。数字と事実を積み上げて、シナリオを作成し、反証可能性を残しながら暫定的に真と思われるシナリオを採用して行動すること。その真が覆れば、別のシナリオを生み出すか、前に捨てたシナリオを復活させて行動する。これはとても大切だと思っています。
ただ、なぜ、そんなことをするのでしょうか?成功するため?金を得るため?でも、その1つに義理と人情の実現があっても良いのかもしれません。義理と人情というと、クローズドで湿っぽい、イヤーな感じがしてきますが、一方で、暖かさもあると思うのです。
- 人間は誰しもできそこないだ。しかしそのできそこないを愛せなければ政治家はつとまらない。そこに政治の原点があるんだ。(田中角栄 100の言葉 - p.82 - 人間を愛する)
少しずつできることが増えてきた、自分が弱者ではなくなった、誰かに指示をする立場になった今。他人に向かって合理主義の気焔を吐く一方で、田中角栄が守ってきた義理と人情について考える余裕が必要です。
義理と人情が不都合な真実を隠すのであれば、私は遠慮なく切り捨てます。一方で、義理と人情には、合理主義では成し得ない何かを生む力があるとも思っている。
人間は合理主義のみでは心から動けないからこそ、敵を作らないことにかけて一流だった田中角栄の「関係者全てに対して慮る姿」は学ぶべきところが多いと感じます。