亡霊
「それくらい自分でやれ」
「無能なお前が誰かの時間をとって良いのか」
「きっと自分ならできる」
「最悪の状態からでも生き延びれる」
「頼む状況を生んだ無計画を反省しろ」
今でも誰かに頼むときに、必ず自分の中から、得体の知れない抵抗がわんさか出てきます。
人に頼むのは苦手です。苦手すぎてタイミングを失して、納期遅れも出したこともあります。
実に矛盾した、無意識の言葉が積み重なったすえの抵抗感。しかし、これらの言葉に、客観性なり合理性はありません。
言うなれば、自分が過去の経験から作り出した〈亡霊〉です。いまはいないものです。
自分で作った自分の亡霊におっかなびっくりしながら、1人でやっていく能力はあがりました。公開情報からルートをつくり、ひとりでこつこつ作業を重ね、障害を起こさないように。
暗がりの中では、正しい生き方でした。
しかし、なにか挑戦したり開拓する能力は失われていきました。誰かのなかに、何か良いものを見出す力も失われました。自分や誰かに、希望を灯すようなこともしなかった。
明るいところに出てきたいま、暗がりの中の生き方は合わなくなってきている。
自分を変えようとするのは、苦痛で恐怖です。より良い人間になろうとしても、やはりそこは変わりません。
現状認識する力を少しずつ獲得し、私の亡霊との戦いの勝率は上がってきています。予断は許さないですが、引きつづき頑張りたいです。
いつか、頼れない自分という幽霊を撃ち払い、頼りになる自分を現実にしたい。